白陽
薄曇りの空の下、私は順と一緒に屋上の倉庫の近くに立っていた。
クラスメイトのことや勉強のこと。
くだらない話を続けているうちに、順が妙に近くにいることに気がついた。
「順?」
どうしたの、と聞くと順はニカッと笑って私を挟んで壁に手を突いた。
なんかとても嫌な予感がする。
「順。何、この手は」
ちょっと睨んでやるけど、こういうときの順はまったくひるまない。
「別にー?」
とかなんとか言って肩や腕に触れてこられると、やばい、と思った。
それが表情に出たのか、順はさらに調子に乗って顔を近づけてくる。
「ちょっと、順…」
思わず顔を引く。でも、考えてみれば背後は壁で、これ以上後ろに下がれるわけもない。
しかも順に左右を塞がれているので逃げ場もない。
ふわっと順の髪の香りがすると、思わず目を閉じてしまった。
柔らかな、慣れた感触を唇に感じる。
でもここは屋上で。
いつ人がやってくるかわからなくて、私は順の肩を押し返した。
勢いで一旦唇が離れる。
それでも順は気にする風もなく、今度は頬に手をかけていささか強引に迫ってきた。
「―――っ!」
強引な順は嫌いじゃない。少し乱暴に舌を絡めとられて、思考がぼやけていく。
順。
ダメだよ、ここは…。
激しい口付けに自分の抵抗が弱まっていくのが、頭の隅に残る冷静な部分でわかる。
誰かに見られたら、というのが気にかかる一方で。
このまま順を受け入れたいという気持ちもあることに気がついた。
これじゃ、ダメになる。
意識を戻すと、順は首筋に舌を這わせていた。
声を抑えようと噛み締める唇の端から吐息が漏れる。
「順…」
どうしよう。
順の唇は首筋から鎖骨へと滑る。右手は制服の上着の中へ。
そこからさらに下着の中に手が入り込み、素肌に触れた。
腰骨の辺りから背骨を辿られ、強く抱き寄せられる。
本当に。
「じゅ、ん…待って……」
余りにも性急な順の動きに心ばかりが焦る。
順は私のかすかな声など気にも留めず、ますます大胆な行為に出る。
きっとこれは料理のスパイスみたいなもので。
私が本気で嫌がってるわけじゃないことを知っているから。
順はこんな行動に出るのだろう。
「ぁっ……」
妙にしつこく背中を撫でられていると思ったら、下着まで外されてしまった。
こんな、ところで。
いくらなんでも。
そう思っていると、順の手が直に胸に触れる。
と同時に舌が耳を這う。
どこまでするつもりなのか。もしかすると最後まで?
私が拒まなければきっとそうなるだろう。
順はいつもその気配を察しているから。
だとしたら私が悪いのかもしれない。
押し付けられた壁の冷たさと対照的に、身体はどんどん熱くなっていく。
クラスメイトのことや勉強のこと。
くだらない話を続けているうちに、順が妙に近くにいることに気がついた。
「順?」
どうしたの、と聞くと順はニカッと笑って私を挟んで壁に手を突いた。
なんかとても嫌な予感がする。
「順。何、この手は」
ちょっと睨んでやるけど、こういうときの順はまったくひるまない。
「別にー?」
とかなんとか言って肩や腕に触れてこられると、やばい、と思った。
それが表情に出たのか、順はさらに調子に乗って顔を近づけてくる。
「ちょっと、順…」
思わず顔を引く。でも、考えてみれば背後は壁で、これ以上後ろに下がれるわけもない。
しかも順に左右を塞がれているので逃げ場もない。
ふわっと順の髪の香りがすると、思わず目を閉じてしまった。
柔らかな、慣れた感触を唇に感じる。
でもここは屋上で。
いつ人がやってくるかわからなくて、私は順の肩を押し返した。
勢いで一旦唇が離れる。
それでも順は気にする風もなく、今度は頬に手をかけていささか強引に迫ってきた。
「―――っ!」
強引な順は嫌いじゃない。少し乱暴に舌を絡めとられて、思考がぼやけていく。
順。
ダメだよ、ここは…。
激しい口付けに自分の抵抗が弱まっていくのが、頭の隅に残る冷静な部分でわかる。
誰かに見られたら、というのが気にかかる一方で。
このまま順を受け入れたいという気持ちもあることに気がついた。
これじゃ、ダメになる。
意識を戻すと、順は首筋に舌を這わせていた。
声を抑えようと噛み締める唇の端から吐息が漏れる。
「順…」
どうしよう。
順の唇は首筋から鎖骨へと滑る。右手は制服の上着の中へ。
そこからさらに下着の中に手が入り込み、素肌に触れた。
腰骨の辺りから背骨を辿られ、強く抱き寄せられる。
本当に。
「じゅ、ん…待って……」
余りにも性急な順の動きに心ばかりが焦る。
順は私のかすかな声など気にも留めず、ますます大胆な行為に出る。
きっとこれは料理のスパイスみたいなもので。
私が本気で嫌がってるわけじゃないことを知っているから。
順はこんな行動に出るのだろう。
「ぁっ……」
妙にしつこく背中を撫でられていると思ったら、下着まで外されてしまった。
こんな、ところで。
いくらなんでも。
そう思っていると、順の手が直に胸に触れる。
と同時に舌が耳を這う。
どこまでするつもりなのか。もしかすると最後まで?
私が拒まなければきっとそうなるだろう。
順はいつもその気配を察しているから。
だとしたら私が悪いのかもしれない。
押し付けられた壁の冷たさと対照的に、身体はどんどん熱くなっていく。
汗ばむ身体。
衣服を脱ぎ捨ててしまいたいような衝動に駆られる。
さっきよりも順の髪の香が増していることに気付く。
溺れてしまいたいような強い香り。
最初はそれに戸惑った。
順に溺れてしまうのは嫌だった。
激しく抱かれているときも、私はそれを心のどこかで拒んでいた。
怖かったのかもしれない。
気がつけば順の手はいつの間にかスカートの中に入り込み、太腿の内側を撫でている。
ねぇ。
私が拒否しなければ順は私を抱くのに。
じゃあ私が。
すべて受け入れてしまえば。
順は本当に私を抱くの?
順。
雲の向こうで鈍く輝く太陽を見ながら。
私は現実の海へと回帰していった。
衣服を脱ぎ捨ててしまいたいような衝動に駆られる。
さっきよりも順の髪の香が増していることに気付く。
溺れてしまいたいような強い香り。
最初はそれに戸惑った。
順に溺れてしまうのは嫌だった。
激しく抱かれているときも、私はそれを心のどこかで拒んでいた。
怖かったのかもしれない。
気がつけば順の手はいつの間にかスカートの中に入り込み、太腿の内側を撫でている。
ねぇ。
私が拒否しなければ順は私を抱くのに。
じゃあ私が。
すべて受け入れてしまえば。
順は本当に私を抱くの?
順。
雲の向こうで鈍く輝く太陽を見ながら。
私は現実の海へと回帰していった。